P.F.ドラッカー『経営者の条件』⑤

“マネジメントの父”と呼ばれるP.F.ドラッカー(1909-2005)の名著『経営者の条件』<ダイヤモンド社>より名語録をご紹介していきます。【第5弾】

“成果をあげるエグゼクティブは、人間の強みを生かす。彼らは弱みを中心に据えてはならないことを知っている。強みこそが機会である。強みを生かすことが、組織に特有の目的である”

“人事上の決定においては、人間の弱みを最小限に抑えるのではなく、強みを最大限に発揮させなければならない。人間の弱みに着目して組織の人事を行おうとすれば、最もうまくいっても、平凡な結果に終わる”

“できることではなく、できないことに気をとられ、弱みを避けようとするようなエグゼクティブは、彼自身が弱い人間である。おそらく彼は、強い人間に脅威を感じるのかもしれない。しかし、部下が強みをもっており、成果をあげるからという理由で苦労した者など一人もいない

“他人に成果をあげさせるためには、決して「彼と私はうまくやっていけるか」を考えてはならない。「彼はどのような貢献ができるか」を問わなければならない。また、「何ができないか」を考えてはならない。常に「何を非常によくできるか」を考えなければならない”

“人間の卓越性は、一つの分野、あるいはわずかの分野においてしか実現されない。多くの分野において卓越した業績のある人間は、存在しない

“弱みを基盤にすることは、組織本来の目的に背く。組織とは、人間の弱みを中和し、無害化し、同時に、人間の強みを成果に結びつけるための特殊な道具である”

“組織を評価する基準は、天才的な人間の有無ではない。平凡な人間が非凡な成果をあげるようにさせられるか否かである”

“実績をもつ者には、機会を与えなければならない。問題ではなく、機会を中心に人事を行うことこそ、成果をあげる組織を創造する道であり、献身と情熱を創造する道である”

“組織は、一人一人の人間に対し、彼らが、その制約や弱みにも関わらず、その強みを通して、物事を成し遂げられるように奉仕しなければならない”

“成果をあげるエグゼクティブは、自分自身であろうとする。決して、他の誰かであろうとはしない。自分の仕事ぶりと、成果を見て、自分のパターンを識別しようとする。「他人には難しいが、自分には簡単にやれることは何か」を考える”

“自分が得意であると知っていることを、自分の得意な方法で行うことによって、成果をあげなければならない”

“自分を含め、あらゆる人間を機会として見なければならない。強みのみが、成果を生む。弱みは、たかだか頭痛を生むくらいのものであり、弱みをなくしたからといって、何も生まれはしない。弱みをなくすことにエネルギーを注ぐのではなく、強みを生かすことにエネルギーを費やさなくてはならない

人間の世界では、リーダーと普通の人たちとの距離は一定である。リーダーの仕事ぶりが高ければ、普通の人の仕事ぶりも高くなる。集団全体の成績を上げるよりも、リーダー一人の成績を上げる方が易しいということを知らなければならない。したがって、リーダー的な地位、すなわち標準を設定し基準を定める地位には、傑出した基準を設定できる強みをもつ人間をつけなければならない”